One of 泡沫ブログ

世の中にいくつもある泡沫ブログの一です。泡沫らしく好き勝手書いて、万が一炎上したら身を潜めようと思います。※一部のリンクはアフィリエイトです

金持ちになる方法はあるけれど、金持ちになって君はどうするの?

 

タイトルからしていきなりイロモノ感が全開だが、ホリエモン信者にとってはその辺含めてお布施みたいなものであり、セラピー代のようなものである。今回も堀江節が全開で、しかも堀江一派(?)のひろゆきや藤沢金融日記氏、夏野剛氏らによる解説もオマケでついてくる。信者はお布施のし甲斐があるだろう。われわれのようなロスジェネ世代およびその予備軍にとって、ホリエモンやひろゆきから受けた影響は計り知れないものがあるだろう。寄稿している金融日記氏もおそらくそのうちの一人ではないか。今回、また氏の著作を一気に読んでみて一層そのことを意識させられた。

 

ホリエモン(堀江氏はホリエモンと呼ぶのがふさわしいと思う)は先日の2013年3月27日に収監されていた長野刑務所から仮釈放され、現在は条件付きの身ながら、娑婆に戻ってきているらしい。半年以上早く戻ってこられたことについては、率直におめでとうと申し上げたい。本書は釈放前から準備されていたというから、塀の中で尚意欲ますます軒昂だったわけだ。相変わらず化け物のような人である。(塀の中でもわれわれが一生かかっても稼げないカネを稼ぎ、ロケットを作っていたというのだから、常人の到底為しうるところではない)

 

さて本書である。本書は氏の運営するメルマガの再録、再編集といった趣である。具体的には、ビジネスモデルについてのヒントやアイデアについての話と、読者からのQ&Aについてその一部が編集されているようだ。ビジネスモデルの話題に関しては、著者がありとあらゆる分野におけるビジネスモデルの「アイデア」を開陳しているので、なにか一発当ててやろうという野心ある若者にとって、いいリファレンスになるだろう。わたしのような凡夫にはどれもこれもハードルが高そうに見えるが、著者は繰り返し「行動を起こせ、思い立ったら始めろよ」というようなことを述べている。無責任なことを言うようだが、実際、ここで紹介されているスモールスタートビジネスは若者が勢いに任せてやってしまったほうがうまくいくような気がするので、手持ちの技術でサクッとやれそうなことは片っ端から試してみるのはアリではないか。(といって、あくまでも自分でやろうとしないところがオジサンのオジサンたる所以である)

 

一方、読んでいて面白いのはQ&Aのコーナである。正直言って殆どの質問のレベルはどれもこれも低すぎてわたしですらウンザリするレベルなのだが、そのしょうもない質問にも著者自ら真摯に回答しているのが興味深い。いわば凡人と超人が密接に邂逅しているわけだ。長年、ホリエモンの言動を追っかけていると、かれが何を言うのかは質問する前からわかりそうなものだが、殆どの人がそういう予定調和な質問をしては、ホリエモンに一刀両断されている。 

 

とはいえ、ホリエモン自身の「成熟」を感じさせる一節が「あとがき」にあったので、少々長いが引用させていただこう。

 

世の中の多くの人々は、結構些細なことでくよくよ悩んでいるらしい。私が毎週発行している有料メールマガジン『堀江貴文のブログでは言えない話』には会員から数多くの質問が寄せられ、その質問のすべてに原則こたえることにしている。しかし、その質問が実に下らないものが多いのである。もちろん、その中には「会費を払っているのだから元を取らなきゃ損」とくだらない質問を送ってくる人もいるが、中には本気で悩んでいる人も多いのである。

(中略)

嫌なモノは辞めちまうのが簡単だし、ストレスも少なくて済むと思うのだが、買った株が値下がりしても中々損切りができなかったり、結婚した相手のことが好きではなくなったのに離婚ができなかったりするのと同じで、自己暗示にかかってしまうと、「現状を大きく変えてしまうことへの躊躇ってのは、並大抵ではないのだなぁ」といつも思ってしまう。政治の世界も大企業なんかも同じで、「変わりたくない」「変わるのが怖い」、バンジージャンプでいざジャンプ台を目にして足がすくんでしまうのと同じなのであろう。

 なので、私のしていることというのは、後ろからドンと突き落としてジャンプさせることに他ならない。実のところ正解は質問者にも薄々わかっていて、一歩前に進むためのキッカケが欲しかっただけなのである。

 

どうでしょう、この凡人にも優しい心配り。以前の著者なら「そんなのしらねーよ、勝手にすればいいじゃん自分の人生なんだから、ていうか何で自分でわかってるようなことを他人に言ってもらいたいわけ?」とか言いそうではないか。これがわたしの見たホリエモンの「成熟」である。これ自体は嬉しいような悲しいような、何か尖っていたロックスターが、歳を取って丸くなったのを見るような思いである。

 

最後に蛇足までもうひとつ。昨今、個人的に気になっている「投資」に関する著者の考えがコンパクトにまとまっていたので、これも引用して終わりにしたい。

 

私が「貯金しない」というのは、稼いだお金を意識的に貯蓄にまわさないということで、使い切れなくて預金で貯まっているお金はもちろんありますよ。

で、いわゆる普通の資産運用は大して儲からないので、基本的に手元流動性で必要な額以外は新規事業投資に全部まわします。新規事業は自分でやることもあるし、別の人に任せることもあります。これが一番期待リターンが大きいですね。

 

自分でやる事業に投資するのが一番、こんなことサラリと言える人が何人いるのでしょう。さすがにこれはアントレプレナーという「奇特な人」にお任せして、わたしはもう少し安穏とした方法で投資を勉強していきたいと考えております、はい。