One of 泡沫ブログ

世の中にいくつもある泡沫ブログの一です。泡沫らしく好き勝手書いて、万が一炎上したら身を潜めようと思います。※一部のリンクはアフィリエイトです

バイオハザードで英語の勉強 その2

前回、面白半分で大好きなウェスカー隊長の告白を題材に書いてみたところ、意外と勉強になったので、もう一回やってみたいと思います。今回は、『バイオハザード2』で3番目くらいに好きなアネット・バーキンのラストシーンです。マニアックに思われるかもしれませんが、バイオハザード恒例の「施設爆破システム起動メッセージ」が流れる屈指の名シーンなのです。

 

ではまずスクリプトから。例によって引用元はこちら

 

Annette: You! You murdered my husband! I know what you’re looking for! You came for the G-Virus didn’t you! You won’t take it from me! This is my husband’s legacy! Now, where’s that spy you were working with earlier, you know who I’m talking about.

Leon: What?

Annette: You really don’t know anything do you! Hahaha, you’re so gullible! She’s one of the operatives sent here by the agency. The only reason why she came here was to obtain the G-Virus.

Leon: That’s a lie.

Annette: No it’s the truth. I discovered this when I did a background check on her. She specifically got close to John and became his girlfriend to get information about umbrella.

Leon: That can’t be! I know her; Ada wouldn’t do something like that!

Annette: If you don’t want to believe me I don’t care, your about to die anyway.

 

Annette: What happened?

Computer Voice (V.O): The self destruct sequence has been activated! Repeat, the self destruct sequence has been activated! This sequence may not be aborted! All employees proceed to the emergency car at the bottom platform!

 

では次は日本語字幕です。

 

Annette: You! You murdered my husband! I know what you’re looking for! You came for the G-Virus didn’t you! You won’t take it from me! This is my husband’s legacy! Now, where’s that spy you were working with earlier, you know who I’m talking about.

よくも夫を!

分かってるわよ

G-ウィルスが目当てね

でも 夫の遺産を簡単には渡さないわ!

所で…一緒にいた女はどこに?

お仕事中かしら?

 

Leon: What?

何?

 

Annette: You really don’t know anything do you! Hahaha, you’re so gullible! She’s one of the operatives sent here by the agency. The only reason why she came here was to obtain the G-Virus.

あんた 何も知らないの?

おめでたいわね!

あの女は ある組織の工作員

G-ウィルスを奪うために送られたスパイさ!

 

Leon: That’s a lie.

ウソだ

 

Annette: No it’s the truth. I discovered this when I did a background check on her. She specifically got close to John and became his girlfriend to get information about umbrella.

本当よ

ここで情報を引き出して分かったわ

研究員のジョンに近づいて――

アンブレラの情報を盗み出していたのよ

 

Leon: That can’t be! I know her; Ada wouldn’t do something like that!

そんなバカな!

彼女はそんな女じゃない!

 

Annette: If you don’t want to believe me I don’t care, your about to die anyway.

そんな事はどっちでもいいわ

お前は もう死ぬんだから!

 

Annette: What happened?

何が 起きたの?

 

Computer Voice (V.O): The self destruct sequence has been activated! Repeat, the self destruct sequence has been activated! This sequence may not be aborted! All employees proceed to the emergency car at the bottom platform!

爆破装置が作動しました

繰り返します

爆破装置が作動しました

停止する事は出来ません

研究員は最下層のプラットフォームから非常車両で脱出して下さい

 

 

 

続いて解釈です。

 

Annette: You! You murdered my husband! I know what you’re looking for! You came for the G-Virus didn’t you! You won’t take it from me! This is my husband’s legacy! Now, where’s that spy you were working with earlier, you know who I’m talking about.

よくも夫を!

分かってるわよ

G-ウィルスが目当てね

でも 夫の遺産を簡単には渡さないわ!

所で…一緒にいた女はどこに?

お仕事中かしら?

 

murder は殺害する、という意味のやや硬い言葉です。この言葉を聞くと、アラサー世代のわたしとしては『魍魎戦記MADARA』を思い出します。関係ないですね。

 

次の "I know what you're looking for" は、関係代名詞 what に、次の you're looking for がかかって、「あなたの探しているもの」です。「あなたが何を探しているかはわかっている」という感じでしょうか。

 

"You came for the G-Virus" はやや口語的な感じがしますが、この for は日本人にも馴染み深い「~のために」という意味でよいのではないでしょうか。didn't you? はいわゆる「付加疑問文」というやつで、主文にかかる動詞の省略形で文末にかかってくるアレだと思われます。「~ですよね?」という感じのあれです。

 

"You won't take it from me!" も文章自体は非常に簡単ですが、英語独特の表現という気がします。日本語だと、この字幕もそうなっていますが「(私は)あなたに渡さないわ!」というニュアンスですが、英語だと主語は you になっているところが難しいと感じます。敢えて日本語的に言うとすれば、使役動詞のhaveなどを使って "I never have you take it from me!" というような感じになるんでしょうか。よくわかりませんが、なんとなく不自然な印象があります。ここはやはり "No one will take it" とかのほうが自然なんではないでしょうか。理由は分かりませんが…。

 

次の "Now" は、間投詞的に使われているのでしょう。別に「今は」という意味ではないと思われます。実際、字幕でも「所で…」になっています*1。 "you were working with earlier" が一つ前の spy にかかっていて、さっきまで一緒に居たスパイ、ですね。こういう後置修飾はうまく使えるようになるとかっこいいです。続いての you know who I'm talking about ですが、ここでは関係代名詞の who にかかっています。いわゆる「目的格」というやつなので、whom を使って良いパターンでしょう。「わたしが誰のことを言っているか、わかるわよね?」というような意味でしょう。

 

では以上を踏まえて直訳してみます。

 

 You! You murdered my husband! I know what you’re looking for! You came for the G-Virus didn’t you! You won’t take it from me! This is my husband’s legacy! Now, where’s that spy you were working with earlier, you know who I’m talking about. 

 

「あなた! あなたは私の夫を殺害したわね! あなたが何を求めているかはわかっているわ! あなたはGウィルスのためにやって来たんでしょう! あなたには渡さないわ。これは私の夫の遺産なのよ!ところで…さっきまで一緒に働いていたあのスパイはどこにいったのかしら…。もちろん誰のことを言っているかわかるわよね」

 

Leon: What?

何?

 

そりゃ、「何?」って言いますよね。

 

Annette: You really don’t know anything do you! Hahaha, you’re so gullible! She’s one of the operatives sent here by the agency. The only reason why she came here was to obtain the G-Virus.

あんた 何も知らないの?

おめでたいわね!

あの女は ある組織の工作員

G-ウィルスを奪うために送られたスパイさ!

 

ここは結構難しい単語がたくさん出てきます。最初の "You really don't know anything do you!" は、最後の付加疑問文さえ気をつければたいして難しくないと思いますが、次の "you're so gullible!" の gullible はあまり見かけない単語です。調べたところ、「だまされやすい」という意味の形容詞だそうです。勉強になりました。

 

続いて "She's one of the operatives sent here by the agency." は、英語的な感じの刷る文章です。まず one of the ~ は比較的なじみのある表現なのですが、 operatives というのは口語的で意味が広く取れるので難しいです。もちろんこれは「操作できる」という意味の形容詞ではなく、米俗語の「スパイ」という意味です。これは英語の数字感覚的なものなのでしょうが、the operative というと、スパイはエイダしかいないような感じに聞こえますが、 one of the operatives というと、スパイがたくさん居て、その中の一人がエイダである、という印象になります(たぶん)。意識して使いたいものです。次の sent は過去分詞で、「送られた」となり直前の one of the operatives を修飾します。「組織によって送りこまれたスパイ」ですな。その次は、The only reason why she came here までが主語で、「彼女がここへ来た唯一つの理由は」です。why ~ 以下が関係副詞として the only reason にかかってくるものと思われます。to obtainは不定詞ですね。~すること、という意味でしょう。obtainは「得る、取得する」という意味で、一見珍しい単語のようにも見えますが、比較的良く使われるような気がします。

 

では直訳します。

 

Annette: You really don’t know anything do you! Hahaha, you’re so gullible! She’s one of the operatives sent here by the agency. The only reason why she came here was to obtain the G-Virus.

 

「あなたは本当に何も知らないのね? あはは、あなたは相当だまされやすいのね。彼女は組織から送り込まれたスパイの一人よ。彼女がここへ来た唯一の理由は、Gウィルスを手に入れることだったのよ」

 

Leon: That’s a lie.

ウソだ

 

他にも"You're a liar" などもよく耳にする表現です。B'zの歌にもそんなのありました。

 

Annette: No it’s the truth. I discovered this when I did a background check on her. She specifically got close to John and became his girlfriend to get information about umbrella.

 本当よ

ここで情報を引き出して分かったわ

研究員のジョンに近づいて――

アンブレラの情報を盗み出していたのよ

 

"It's the truth." ここでは名詞の truth を使っていますが、形容詞を使って "It's true" とするのもよく目にします。「本当よ」という感じでしょうか。background checkというのは専門用語ですね。日本語だと「身辺調査」ということだそうです。前置詞 on が使われているのは、 check on ~ で「~を調べる」というところから来ているのではないでしょうか。この辺の前置詞の感覚を身につけるには、たくさん読んだり聞いたりするしかないのでしょうね。 get close to ~ は「~に近づく」ですが、specifically というのがなかなか曲者です。意味が色々あるので難しいのですが、おそらくここでは「明確に」というような意味だと思います。アネットは、自分で調べたから自信を持っているということなのでしょう。その次のto 不定詞は、「~のために」なのでしょうか? 勿論使っている単語は平易なので、一見簡単そうに見えるのですが、意外ときちんと意味を取るのは難しそうです。

 

英語の話と少しずれますが、前作『バイオハザード』の謎解きに、研究員ジョン(John)の手記のなかに「パスワードは君の名前だ、ADA」というくだりがありました。その伏線(?)が見事にここで回収されているわけです。当時わたしはゲームをプレイしながら「おおー」と感じました。世界観としてはうまくできているなぁと思ったものです。

 

さて、では直訳です。

 

Annette: No it’s the truth. I discovered this when I did a background check on her. She specifically got close to John and became his girlfriend to get information about umbrella.

 

「いいえ、本当のことよ。彼女の身辺調査をしたときに発見したのよ。彼女は明らかにジョンに近づき、恋仲になってアンブレラの情報を引き出していたのよ」

 

もしかしたら、to不定詞の「目的」をより明確にするには「彼女は明らかに、アンブレラの情報を引き出すために、ジョンに近づいて恋人になったのよ」のほうが妥当な訳かもしれません。難しいところです。

 

では次は一気に行きましょう。

 

Leon: That can’t be! I know her; Ada wouldn’t do something like that!

そんなバカな!

彼女はそんな女じゃない!

 

Annette: If you don’t want to believe me I don’t care, your about to die anyway.

そんな事はどっちでもいいわ

お前は もう死ぬんだから!

 

Annette: What happened?

何が 起きたの?

 

"That can't be" は、できる・できないのcanではなく、可能性があるかどうかの意味です。すなわち、「そんなはずはない」「そんなことがあるわけがない」というような感じです。我ながらそのへんのニュアンスをいつどこで身につけたのか思い出せませんが、意味的には「起こりうる」というような感じだと思います。

 

"wouldn't"も、よく目にする単語です。これはかなり機械的に記憶しているのですが、「~しようとしない」という意味です。たとえば、"The door wouldn't open!"といえば、「ドアが開かない!」となります。頑張って色々やってみても~できない、というようなニュアンスです(…とわたしは記憶しています)。「エイダはそんなことをしない」という意味でしょうね。

 

続いてアネット、"If you don’t want to believe me I don’t care, your about to die anyway." if節は you don't believe me までかかって、「もし信じたくなくても」です。I don't careは、日本語で感じるニュアンスよりもうちょっと投げ遣りで、「どうでもいい」「どっちだっていい」という感じなのだそうです。ですので、もし「晩御飯何が良い?」と聞かれて「何でもいいよ」という意味だと思って "I don't care" と答えると、関係がまずくなる、というような話を聞いたことがあります。あまり使わないほうがよい表現のようです*2。その次の your は、 you're のタイポではないかと思います。be about to~で、今まさに~するところだ、という意味ですね。「どっちにしても、お前は今からすぐに死ぬ運命なのだから」という感じでしょうか。

 

Computer Voice (V.O): The self destruct sequence has been activated! Repeat, the self destruct sequence has been activated! This sequence may not be aborted! All employees proceed to the emergency car at the bottom platform!

爆破装置が作動しました

繰り返します

爆破装置が作動しました

停止する事は出来ません

研究員は最下層のプラットフォームから非常車両で脱出して下さい

 

個人的には、バイオハザードシリーズで一番好きな台詞です(笑)。おそらく一生使うことのない表現だと思います。ここで使われる現在完了形、すなわち has been activated という響きが、ものすごく英語的な感じがして非常に魅力を感じるのです。"The self destruct sequence is activated" ではないのです。そして、"This sequence may not be aborted" なのです。このシークエンスは、アボートさせることはできないのです。

 

というわけで今日はこの辺で。

*1:これは日本語の問題ですが、通常、「ところで」という意味で使う場合、普通はひらくものだと思われますが…。

*2:ちなみにこの場合何と答えればよいのか、模範解答を探しましたがみつかりませんでした。要するに、意図としては I like whatever you choose というようなことを言っておけば良いのだと思うのですが、決まり文句としての良い表現が見つかりませんでした。