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アイドルの矜持

もうずいぶん昔のことのように思えてしまうほどネットの話題は消費が早いが、つい先日のこと、人気アイドルグループの某氏が「恋愛スキャンダル」の責任を取って自ら頭を丸めたという動画が耳目をあつめていた。これに関して色々と論じられていたが、そのほとんどがネガティブな反応だったように思う。これを好意的にとらえた人はよほどのファンでもいなかったのではないだろうか。わたしは動画はみなかったが、それでもサムネイルは目に入ってしまった。正直、あまり気分のいいものではない。

 

話によれば、この人気グループの場合はそもそもの契約で「恋愛禁止」となっていたらしいので契約どおり(?)なのかもしれないが、結局のところ俗に言う「炎上マーケティング」というやつなのだろう。そのほうが「売れる」からというじつに実も蓋もない話であるが、こういうのは消費する側も刺激に麻痺していくので、消費される商品である彼女らの扱いはどんどん悪くなる一方であろう(AVと一緒だ)。本人たちの意思でやっているのだから構わない、というタテマエもあろうが、中の人たちも生きた人間なのだから、やはりこれを操作している人たちの良識は疑わざるを得ない。

 

アイドルが恋愛禁止なのは、あきらかにその商売の性質によるものだ。とくに日本の場合、「処女性」みたいなものを売りにしているため、アイドルは文字通り純粋無垢な無色の「偶像」であらねばならず、その処女性に対してファンは高い金を払っているのだ(たぶん)。そうするとどこそこのイケメングループの誰それと仲良くなっただの、マンションでお泊りしただの、こういうのは許されるべきものではない。いわば他人からお金を預かったファンドマネージャがそのお金で個人の遣いこみをしてしまうようなものだ。職業倫理に真っ向から反する行為なのである。

 

年頃の女性が恋愛を禁止されるなどというのはおかしい。確かに異常だが、そういう商売なのだから割り切って役割に徹するのがプロとしての矜持だろう。こういうときわたしがいつも思うのが「モーニング娘。」の道重さゆみさんだ。彼女は2003年に13歳でモーニング娘。に加入し、以来10年以上、アイドルとしてキャリアを積んでいる。今春、唯一残った同期の田中れいなさんが卒業することになり、ハロプロ最年長、加入年数も最年長となる彼女は、20過ぎた今も現役の「アイドル」としての自分を強烈に自己規定している。かつて何人もの先輩が「スキャンダル」で脱退していたことを思うと、きっと彼女自身もいろいろと思うところはあるだろうし、アイドルとしての現状に思い悩む部分もあるだろう。人気絶頂の時期に加入し、以来どんどんとセールスと人気が低迷、時代の変化をその身でもって感じたであろう彼女は、それでも「ファンの人たちのことを裏切れない」と今でも頑なに「恋愛禁止」を守っている。これぞプロというものであろう。

 

と、いうことで『Help me!』オリコンウィークリー1位おめでとうございます。

 


モーニング娘。 『Help me!!』 (Dance Shot Ver.)