インターネットで自己管理
最近は殆どのサービスでウェブの窓口が用意されているので、住所変更などの手続きがたいへんやりやすくなった。わたしはここ15年で引越しを9回ほどしているのだが、そのたびに段々と便利になっていく世の中を実感している。電気・ガス・水道などのライフラインをはじめ、銀行口座、携帯電話、クレジットカード、年金、インターネット回線など、いまでは引越しのたびに発生する諸々の手続きの殆どすべてを自宅からできるようになっている。これは大変ありがたい。
しかし、ウェブは手続きは便利なのだが、IDやパスワードを適切に管理する必要が発生しており、これがまた、結構面倒で困る。サイトごとに仕様が個性豊かというか、IDやパスワードに制限があったり、システムメンテナンスが頻繁に発生したりするものもある上に、どんどん増えていくので、手帳にメモするというのではとても追いつかない。かといって同じパスワードを使いまわすのもセキュリティ管理上宜しくない。たまに流出したりして、パスワードもたまに変えなければならないので、もう手作業は無理である。
わたしはいま、おそらく60個くらいのウェブ用のログインIDがある。これらはすべてパスワードマネジャで管理しているのだが、もし、これがクラッシュしたら、すべて再発行するのにどのくらいのコストがかかるのか想像もつかない。考えるだに恐ろしい。インターネットは便利であるが、自己管理がこれまで以上に難しくなったといえよう。一回アクセスしたっきり二度とログインしないサービスなども含めると、いったいいくつのサイトに大小の個人情報を入力してしまったのだろうか。サイトの運営側も、適切にパスワードやクレジットカードの情報を管理しているとは言いがたい。わたしの体感だと、パスワードを生で保存しているサイトは6割くらい、クレジットカードの番号を生で保存しているサイトは8割くらいであろうか。そういうことも含めて管理していかねばならないことを考えると、便利さとの引き換えに、これは結構たいへんな世の中なんじゃないか?と思ったりもする。