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ハンキ=ヘンリー・パーマネント・カレンダー

曜日が変わらない「合理的な新しい暦」 - WIRED

 

なぜか急に思い出してしまったのでググってみたら、ちょうど一年前(2012/1/16)のWIREDの記事を発見した。まったくあたらしいコンセプトのこの暦、同じ日が必ず同じ曜日になるという超合理的な設計になっているそうだ。「1年」の周期は、現在世界でもっとも広く使われているグレゴリオ暦(365日)よりもわずかに短い(364日)ため、実際の公転周期(回帰年=365.2424日)との調整は、5、6年に一度「閏週」によって調整するとのこと。

 

一読して非常に合理的で面白い発想だと思ったのだが、同時に一般にはなかなか受け入れられないとも直感した。なんとなくそう思いながら記事を読みすすめていくと、発案者はリバタリアン系の学者とあるではないか。さもありなんという感じだ。 

 

しかも、発案者らはこの暦だけでなく、「時差」もなくしてしまえ、と主張する。

 

なお両氏は、時間についても合理化しようと提案している。世界中のすべての時計を協定世界時(グリニッジ標準時)に合わせれば、時差などというものは廃止され、また、ヘンリー氏が特に不満に思っているサマータイムもなくなるという。

 

これは確かに合理的だ。コンピュータを扱っていると、たまにUTC(世界協定時)しか持っていない製品があったりするが、こうしたときにもわざわざ9時間足す必要がなくなる。しかし、たとえば日本などの場合は実際の時刻より9時間も前倒しになってしまうため、前日の夜中から行動を起こすような不快な感覚になるだろう。一日の始まりが7時だとしたら、今後は同じ時刻が前日の22時となり、深夜に行動を開始するような感覚になるわけだ。UTCからのずれが大きい国ほど困るだろう。これはさすがに受け入れられるとは思えず、実現する可能性がなさそうだ。思考実験としては面白いが、暦法はともかく時法をいじるのは当分無理なのではないだろうか。

 

人類が最初に発見した暦は太陰暦、すなわち月の動きを基準とした暦だった。太陰暦は月の周期を基準としている(1年=約354日)ため、ずっと使っていると季節がずれてしまう。要するに8月なのに冬、ということもあるわけだ。この季節感のずれを解消するために開発したのが太陰太陽暦で、季節がずれる前に数年に一度「閏月」というのを差し込んで回帰年に合わせていくというテクニックだ。現在使われているグレゴリオ暦をは勿論太陽暦で、季節のずれは殆どない。約4年に一度、わずかに生じるずれを閏日で調整するのはわれわれにとっては馴染み深い。

 

こうして振り返ってみると、人類は「季節感とのずれ」に敏感で、このずれを何とかして極小化したいという動機が現在の太陽暦の採用につながっているのではないかと思う。そう考えると、人間が管理しやすい、合理的であるという理由が主たる動機となっているこの新暦、採用される可能性はとても低いような気がする。

 

ハンキ=ヘンリー・パーマネント・カレンダー - Wikipedia