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世の中にいくつもある泡沫ブログの一です。泡沫らしく好き勝手書いて、万が一炎上したら身を潜めようと思います。※一部のリンクはアフィリエイトです

桐島、部活やめるってよ

 

【ネタバレ】

 

はじめにお断りしておくと、原作のほうは未読。ではなぜこれを観てみようかと思ったのかというと、たまたま町山さんの解説を読んで興味を持ったから、であります。

 

映画評論家の町山さんの『桐島、部活やめるってよ』の解説が素晴らしかったので、全文書き起こしてみた。

【復習編】完結!町山智浩さんの『桐島、部活やめるってよ』の解説が素晴らしかったので書き起こしました。

 

その解説は上記リンクのとおりです。正直言って、町山さんの解説は完璧かつ網羅的すぎて、その他の批評や解説がまったく無意味になってしまうんではないかと思うほどです。なのでいまさらわたしのようなトーシロがああだこうだ言うのは意味がないかもしれないのですが、この作品自体が「複数の登場人物の視点で描く」という手法をとっているのですから、批評もまたこうした微妙な視点から加えるのも意味があるというものでしょう。

 

さて、言い訳はこれくらいにして。

 

本作の登場人物たちは、せりふは多いものの、実際何を考えているのかはあまり明確に説明がなされません。言い換えますと、登場人物の心理描写はただ暗示されてるのみで、観る人によって多様な解釈が可能というか、ことによっては何がなんだかよくわからない、モヤモヤ感の残る作品ではないかと思われます。ふつうの作品であれば、登場人物の心理描写はモノローグのようなかたちで言語化され、観客は「神の視点」で安心して物語を堪能できるものですが、その辺が突き放されています。

 

表層的なところだけを見れば、本作はスクールカーストの気持ち悪さや同調圧力の気持ち悪さなど、(おそらくは)大多数の人が多かれ少なかれ経験する青春時代のダークサイドを、これでもかというほどのリアリティでもって描いておりますので、観客は自分自身の学生時代の記憶と、作品がかもし出す厭~な雰囲気がないまぜになって、端的に言えば「不快感を感じる」人がほとんどなのではないかと思います。しかもさらに悪いことに、その不快感すらも理解しやすいかたちで「言語化」していないがために、後半のカタルシスがまったくもって理解しがたいものになっているようです。たとえば前田君たちが全校生徒の前で表彰される際に嘲笑されるとか、酷いタイミングでかすみちゃん(バドミントン部)がイケメン集団のひとり(アフロ)と付き合っていることが判明するとか、沙奈ちゃん(宏樹君の彼女)が沢島さん(吹奏楽部部長)に見せ付けるような接吻シーンだとか、そういう「残酷さ」は非常にビジュアルですから、見れば誰にでも分かりやすい。しかし、そのカウンタである沢島さんの会心の演奏だとか、クライマックスのゾンビ(の幻影)がかすみちゃんを食べちゃうところとか、弘樹君の前田君へのインタビューとかはめちゃくちゃ分かりにくい構成となっており、前田君や沢島さんに感情移入する観客は(作品自体がこれらの人たちに感情移入するように設計されているにもかかわらず)容易にカタルシスが得られず、意味が分からないという酷い映画になっております。まったくユーザフレンドリではありません。これでは低評価も致し方ないというものでしょう。

 

おそらく、町山さんのように、よほどこうした機微にすぐれたというか、ふだんから色々な作品に触れ、本質的なテーマを切り取ったり、感情を言語化する訓練をしているプロでもない限り、「意味が分からん」「なんなんだこれ」という反応もむべなるかな、というものでありましょう。だって登場人物の誰も、なにも説明していないんだから。むしろそれが普通の反応といえるでしょう。かくいうわたしも同じで、たぶん町山解説を読まなかったら、単なるスクールカーストの文脈でしか読んでいなかったかもしれません。

 

町山さんは、前田君が沢島さんに「それ、遊びですか?」と詰問されて口ごもるシーンが哀しかったとおっしゃっています。

 

僕が悲しかったのは、ゾンビ映画を撮っているという話をした時にですね、吹奏楽部の女の子の亜矢ちゃんがですね、「それ、遊びですか?」って言うんですね。「いや、そうじゃないんだけど」って前田くんは言うんですけど、どう聞いても遊びにしか聞こえないよと、これはねえ、僕は人生の中で何度も言われました。

 

http://matome.naver.jp/odai/2137631236509407601/2137631742011967703

 

わたしも、前田君が映画部の顧問にロメロの話をするくだりで、不覚にもぐっと来てしまいました。

 

この映画みんながいいたいことを言おうとするとそこで切るというですね、言いたいことを言わせないから観客が考えろっていう形になっていますけど、この前田くんが映画秘宝を大好きで、ゾンビ映画撮ろうとしてシナリオを顧問の先生に見せるとですね、こんなんじゃなくてもっと青春のちゃんとした自分の身の回りのことを描けよ、もっと自分自身のことを描けよと。恋愛とかさー、受験とかさー、友人関係とかさ-とか言うんですよ。そのほうがリアリティあるだろうと、ゾンビのほうがリアリティないだろうと言うんですね。実はこの映画は青春映画であって、受験とか恋愛とかを描いているんですけども、でも前田くんにとっては違うんですよね。

前田くんはその時にどういうふうに反論するかと言うと、先生はジョージ・A・ロメロの作品見たことありますかっていうんですね。ところが先生は、そんなマニアックなものみたいな話をして、話がそこで途切れちゃうんですよ。でも何を言おうとしたかってとこなんですよね、前田くんは。

 

http://matome.naver.jp/odai/2137631236509407601/2137631742011967703

 

こういう、自分がやっていることが、多数派のものと違うときに感じる疎外感、「ああ、これはもう説明しても駄目なパターンだ」という諦念は、なかなか言葉にしづらいものがあります。ひとりや同好の志の間だけでやっている限り、一般に説明する義務もないので問題ないわけですが、何かの拍子に一般社会と重なり合ってしまうと、急に説明する義務が生じるわけです。好むと好まずにかかわらず。そして、得てしてこのようなケースでは、どのように言葉を尽くしたとしても、社会からどういうリアクションが返ってくるかは、ほとんど予定調和なのです。「気持ち悪い」「意味が分からない」「なんでそんなことするの?」「結局、キモい」等々。単に理解されないだけであれば、別に問題ないのですが、場合によっては謂れのない迫害を受けるケースすらあります。この映画は、その辺をじつによく活写しています。前田君たちの「隕石」が、バレー部にとってはゴミであるということは社会的な事実といえます。あれはただのゴミであり、桐島探しという大事の前には、映画部はただただ邪魔な存在そのものです。あれが映画でなければ、おそらく誰もがバレー部の立場にたち、映画部を邪険に扱うでしょう。

 

しかし、町山解説でも明らかなように、この作品は最後に救いを描いているのでしょう。さいごに強いのは自己を確立した人か、信仰のある人だけだという解釈。おそらくこの作品を寓話として捉えれば、ここで描かれているスクールカーストというのは広い意味での社会そのものなわけです。容姿や能力こそが力の裏づけであり、社会的評価はそうした社会的な力にリンクしているというものです。社会的な力にリンクしていない力、つまり吹奏楽であるとか、映画に対する造詣などは、他者を従えるという意味での力は有していないのでこの社会では「無価値」です。桐島というのは、まさにこの社会を形作る価値観の基準としての存在です。しかしながら、そういう価値観が通用しない世界こそが、その人を支える自己そのものであるということではないでしょうか。前田君には映画がある。沢島さんには吹奏楽がある。

 

人生というのは一筋縄ではいかないものですね。

道重さゆみさん、ついに卒業

モーニング娘。'14 道重さゆみに関するお知らせ

 

あーこれは書かなきゃ書かなきゃと思っていたら、一週間が過ぎていた。モーニング娘。'14の道重さんが、ついに、この秋に卒業することになったそうだ。異例(?)の事務所社長コメントともに、ハロー!プロジェクトのサイトにコメントが載せられている。

 

こういうとき「何で今?」「タイミング悪いだろ」「まだ早い」というような反応があるのが世の常だが、門外漢としては感じるのは、ビジネスのタイミングとしてはそれほど悪くないということである。実際、つんく♂さんのコメントにもこうある:

 

彼女曰く「『よし!私、今日もかわいいぞ!』というコメントがギャグ化する前に、リアルにかわいいうちに卒業したいんです。」と。

そして「グループが盛り上がってきている『今』卒業したいんです。」という彼女なりの美学もありました。

 

こういうロックな考え方は私的にもすごく大好きで、実際は2年近く今後どうしていくか話しあってきました。

結果、いろんな記録も更新している中、今年が道重にとって一番ベストな卒業タイミングであると思い、この秋の卒業を決定しました。

 

モーニング娘。'14 道重さゆみに関するお知らせ

 

おそらくなんにでも適用できる法則として、「一番高いところで売れ」というものがあると思う。株でも商品でも、需要が落ち目になってからでは駄目なのだ。そういう意味で、わたしは今回の卒業はタイミングとして最高なのではないか、むしろ少し遅いくらいなのではないかと感じる次第である。(道重さんももう7月には25歳になるのだ。) 尚、前回の田中れいなさんが卒業したときもわたしは少しコメントしたが、あのときは同時期に発覚した矢口さんの騒動のせいで卒業が台無しになってしまった。田中さん自身、内心では矢口さんになにか言いたくもなるではないだろうか。

 

話が逸れた。

 

ちなみにどうでもいいのだが、わたしはなんとなく今年の春ツアーが最後かなぁと予想していた。秋ということなので半年ずれたということだが、ということは紅白出場の可能性が取り沙汰されている現状、出場の如何を問わず道重なしの体制で臨むということであろう。正直、大丈夫か? と思わなくもないが、こればっかりは遅いか早いかである。それに環境が人を育てるということもある。いつまでも道重さんにおんぶに抱っこではこれから長い芸能生活を生き抜いていくことなど不可能だろう。厳しいようだが、ショウビズというのはそういうもんなのであろう。おそらく今後の鍵を握るのは、エース鞘師のプレゼンスは勿論のこと、バラエティ的な切込という観点では飯窪さんと、生田のゴルフがキモではないかと思っている。何の根拠もないが。

 

また話が逸れた。というか、そもそも気持ち悪いおっさんの独白なのだから主旨も何もない、何だっていいのだ。思い返すと『One Two Three』のクリップをなんとなく見かけて、いつのまにか「新生」モーニング娘。にはまってしまったのが2012年の7月のことだった。あれからもう2年。この2年間、おっさんは、大変愉しくモーニング娘。を見させていただくことができた。10年ちょっと前、まだ道重さんが加入する前のモーニング娘。にも多少思い出のあるおっさんとしては、当時のことも思い出しながら、思い出にもひたることができた。ありがとう道重さん。あなたが加入した当時、わたしの興味はあややに移ってしまっていて、モーニング娘。には興味をなくしていたのですが、よく考えたら『シャボン玉』や『『Go Girl ~恋のヴィクトリー~』はちゃんと録画して観ていました。15人体制のときはわたしもまだ若かった。

 

…何の話だかわからなくなったが、道重さんが卒業してしまったら、モーニング娘。'14のことを引き続き観るだろうか? よくよく考えるに、おっさんがなぜモーニング娘。を観るのかといえば、昔の思い出とともに、道重さんに栄枯盛衰のドラマを重ね合わせていただけなのではないかと思う。道重さんは、絶頂期に加入し、長き低迷の時代を経て、昨今の再生にすべてをかけていたのだ…これはもう『プロジェクトX』の世界ですな。彼女が伝説と呼ばれるのも、おそらくこうした栄枯盛衰の過程をただ一人経験したという、モーニング娘。の中でもかなり特異なポジションを占めており、かつまた本人がその立ち居地にもの凄く自覚的であったということであろう。それがドラマなのではないか。そして、そのドラマが終わってしまった以上、これからは恐らく「次の」世代の物語である。それは、わたしのようなオッサンが辿るような代物ではあるまい。同時代性という意味ではもはや楽しむ資格はおそらくないのであろう。とか言いつつ生田さんの今後はかなり期待できると思っていたりしますw*1

*1:昔のブログでも同じようなことを書いたので、暇で時間を無駄にしても良いという人は読んでみてください。

バイオハザードで英語の勉強 その2

前回、面白半分で大好きなウェスカー隊長の告白を題材に書いてみたところ、意外と勉強になったので、もう一回やってみたいと思います。今回は、『バイオハザード2』で3番目くらいに好きなアネット・バーキンのラストシーンです。マニアックに思われるかもしれませんが、バイオハザード恒例の「施設爆破システム起動メッセージ」が流れる屈指の名シーンなのです。

 

ではまずスクリプトから。例によって引用元はこちら

 

Annette: You! You murdered my husband! I know what you’re looking for! You came for the G-Virus didn’t you! You won’t take it from me! This is my husband’s legacy! Now, where’s that spy you were working with earlier, you know who I’m talking about.

Leon: What?

Annette: You really don’t know anything do you! Hahaha, you’re so gullible! She’s one of the operatives sent here by the agency. The only reason why she came here was to obtain the G-Virus.

Leon: That’s a lie.

Annette: No it’s the truth. I discovered this when I did a background check on her. She specifically got close to John and became his girlfriend to get information about umbrella.

Leon: That can’t be! I know her; Ada wouldn’t do something like that!

Annette: If you don’t want to believe me I don’t care, your about to die anyway.

 

Annette: What happened?

Computer Voice (V.O): The self destruct sequence has been activated! Repeat, the self destruct sequence has been activated! This sequence may not be aborted! All employees proceed to the emergency car at the bottom platform!

 

では次は日本語字幕です。

 

Annette: You! You murdered my husband! I know what you’re looking for! You came for the G-Virus didn’t you! You won’t take it from me! This is my husband’s legacy! Now, where’s that spy you were working with earlier, you know who I’m talking about.

よくも夫を!

分かってるわよ

G-ウィルスが目当てね

でも 夫の遺産を簡単には渡さないわ!

所で…一緒にいた女はどこに?

お仕事中かしら?

 

Leon: What?

何?

 

Annette: You really don’t know anything do you! Hahaha, you’re so gullible! She’s one of the operatives sent here by the agency. The only reason why she came here was to obtain the G-Virus.

あんた 何も知らないの?

おめでたいわね!

あの女は ある組織の工作員

G-ウィルスを奪うために送られたスパイさ!

 

Leon: That’s a lie.

ウソだ

 

Annette: No it’s the truth. I discovered this when I did a background check on her. She specifically got close to John and became his girlfriend to get information about umbrella.

本当よ

ここで情報を引き出して分かったわ

研究員のジョンに近づいて――

アンブレラの情報を盗み出していたのよ

 

Leon: That can’t be! I know her; Ada wouldn’t do something like that!

そんなバカな!

彼女はそんな女じゃない!

 

Annette: If you don’t want to believe me I don’t care, your about to die anyway.

そんな事はどっちでもいいわ

お前は もう死ぬんだから!

 

Annette: What happened?

何が 起きたの?

 

Computer Voice (V.O): The self destruct sequence has been activated! Repeat, the self destruct sequence has been activated! This sequence may not be aborted! All employees proceed to the emergency car at the bottom platform!

爆破装置が作動しました

繰り返します

爆破装置が作動しました

停止する事は出来ません

研究員は最下層のプラットフォームから非常車両で脱出して下さい

 

 

 

続いて解釈です。

 

Annette: You! You murdered my husband! I know what you’re looking for! You came for the G-Virus didn’t you! You won’t take it from me! This is my husband’s legacy! Now, where’s that spy you were working with earlier, you know who I’m talking about.

よくも夫を!

分かってるわよ

G-ウィルスが目当てね

でも 夫の遺産を簡単には渡さないわ!

所で…一緒にいた女はどこに?

お仕事中かしら?

 

murder は殺害する、という意味のやや硬い言葉です。この言葉を聞くと、アラサー世代のわたしとしては『魍魎戦記MADARA』を思い出します。関係ないですね。

 

次の "I know what you're looking for" は、関係代名詞 what に、次の you're looking for がかかって、「あなたの探しているもの」です。「あなたが何を探しているかはわかっている」という感じでしょうか。

 

"You came for the G-Virus" はやや口語的な感じがしますが、この for は日本人にも馴染み深い「~のために」という意味でよいのではないでしょうか。didn't you? はいわゆる「付加疑問文」というやつで、主文にかかる動詞の省略形で文末にかかってくるアレだと思われます。「~ですよね?」という感じのあれです。

 

"You won't take it from me!" も文章自体は非常に簡単ですが、英語独特の表現という気がします。日本語だと、この字幕もそうなっていますが「(私は)あなたに渡さないわ!」というニュアンスですが、英語だと主語は you になっているところが難しいと感じます。敢えて日本語的に言うとすれば、使役動詞のhaveなどを使って "I never have you take it from me!" というような感じになるんでしょうか。よくわかりませんが、なんとなく不自然な印象があります。ここはやはり "No one will take it" とかのほうが自然なんではないでしょうか。理由は分かりませんが…。

 

次の "Now" は、間投詞的に使われているのでしょう。別に「今は」という意味ではないと思われます。実際、字幕でも「所で…」になっています*1。 "you were working with earlier" が一つ前の spy にかかっていて、さっきまで一緒に居たスパイ、ですね。こういう後置修飾はうまく使えるようになるとかっこいいです。続いての you know who I'm talking about ですが、ここでは関係代名詞の who にかかっています。いわゆる「目的格」というやつなので、whom を使って良いパターンでしょう。「わたしが誰のことを言っているか、わかるわよね?」というような意味でしょう。

 

では以上を踏まえて直訳してみます。

 

 You! You murdered my husband! I know what you’re looking for! You came for the G-Virus didn’t you! You won’t take it from me! This is my husband’s legacy! Now, where’s that spy you were working with earlier, you know who I’m talking about. 

 

「あなた! あなたは私の夫を殺害したわね! あなたが何を求めているかはわかっているわ! あなたはGウィルスのためにやって来たんでしょう! あなたには渡さないわ。これは私の夫の遺産なのよ!ところで…さっきまで一緒に働いていたあのスパイはどこにいったのかしら…。もちろん誰のことを言っているかわかるわよね」

 

Leon: What?

何?

 

そりゃ、「何?」って言いますよね。

 

Annette: You really don’t know anything do you! Hahaha, you’re so gullible! She’s one of the operatives sent here by the agency. The only reason why she came here was to obtain the G-Virus.

あんた 何も知らないの?

おめでたいわね!

あの女は ある組織の工作員

G-ウィルスを奪うために送られたスパイさ!

 

ここは結構難しい単語がたくさん出てきます。最初の "You really don't know anything do you!" は、最後の付加疑問文さえ気をつければたいして難しくないと思いますが、次の "you're so gullible!" の gullible はあまり見かけない単語です。調べたところ、「だまされやすい」という意味の形容詞だそうです。勉強になりました。

 

続いて "She's one of the operatives sent here by the agency." は、英語的な感じの刷る文章です。まず one of the ~ は比較的なじみのある表現なのですが、 operatives というのは口語的で意味が広く取れるので難しいです。もちろんこれは「操作できる」という意味の形容詞ではなく、米俗語の「スパイ」という意味です。これは英語の数字感覚的なものなのでしょうが、the operative というと、スパイはエイダしかいないような感じに聞こえますが、 one of the operatives というと、スパイがたくさん居て、その中の一人がエイダである、という印象になります(たぶん)。意識して使いたいものです。次の sent は過去分詞で、「送られた」となり直前の one of the operatives を修飾します。「組織によって送りこまれたスパイ」ですな。その次は、The only reason why she came here までが主語で、「彼女がここへ来た唯一つの理由は」です。why ~ 以下が関係副詞として the only reason にかかってくるものと思われます。to obtainは不定詞ですね。~すること、という意味でしょう。obtainは「得る、取得する」という意味で、一見珍しい単語のようにも見えますが、比較的良く使われるような気がします。

 

では直訳します。

 

Annette: You really don’t know anything do you! Hahaha, you’re so gullible! She’s one of the operatives sent here by the agency. The only reason why she came here was to obtain the G-Virus.

 

「あなたは本当に何も知らないのね? あはは、あなたは相当だまされやすいのね。彼女は組織から送り込まれたスパイの一人よ。彼女がここへ来た唯一の理由は、Gウィルスを手に入れることだったのよ」

 

Leon: That’s a lie.

ウソだ

 

他にも"You're a liar" などもよく耳にする表現です。B'zの歌にもそんなのありました。

 

Annette: No it’s the truth. I discovered this when I did a background check on her. She specifically got close to John and became his girlfriend to get information about umbrella.

 本当よ

ここで情報を引き出して分かったわ

研究員のジョンに近づいて――

アンブレラの情報を盗み出していたのよ

 

"It's the truth." ここでは名詞の truth を使っていますが、形容詞を使って "It's true" とするのもよく目にします。「本当よ」という感じでしょうか。background checkというのは専門用語ですね。日本語だと「身辺調査」ということだそうです。前置詞 on が使われているのは、 check on ~ で「~を調べる」というところから来ているのではないでしょうか。この辺の前置詞の感覚を身につけるには、たくさん読んだり聞いたりするしかないのでしょうね。 get close to ~ は「~に近づく」ですが、specifically というのがなかなか曲者です。意味が色々あるので難しいのですが、おそらくここでは「明確に」というような意味だと思います。アネットは、自分で調べたから自信を持っているということなのでしょう。その次のto 不定詞は、「~のために」なのでしょうか? 勿論使っている単語は平易なので、一見簡単そうに見えるのですが、意外ときちんと意味を取るのは難しそうです。

 

英語の話と少しずれますが、前作『バイオハザード』の謎解きに、研究員ジョン(John)の手記のなかに「パスワードは君の名前だ、ADA」というくだりがありました。その伏線(?)が見事にここで回収されているわけです。当時わたしはゲームをプレイしながら「おおー」と感じました。世界観としてはうまくできているなぁと思ったものです。

 

さて、では直訳です。

 

Annette: No it’s the truth. I discovered this when I did a background check on her. She specifically got close to John and became his girlfriend to get information about umbrella.

 

「いいえ、本当のことよ。彼女の身辺調査をしたときに発見したのよ。彼女は明らかにジョンに近づき、恋仲になってアンブレラの情報を引き出していたのよ」

 

もしかしたら、to不定詞の「目的」をより明確にするには「彼女は明らかに、アンブレラの情報を引き出すために、ジョンに近づいて恋人になったのよ」のほうが妥当な訳かもしれません。難しいところです。

 

では次は一気に行きましょう。

 

Leon: That can’t be! I know her; Ada wouldn’t do something like that!

そんなバカな!

彼女はそんな女じゃない!

 

Annette: If you don’t want to believe me I don’t care, your about to die anyway.

そんな事はどっちでもいいわ

お前は もう死ぬんだから!

 

Annette: What happened?

何が 起きたの?

 

"That can't be" は、できる・できないのcanではなく、可能性があるかどうかの意味です。すなわち、「そんなはずはない」「そんなことがあるわけがない」というような感じです。我ながらそのへんのニュアンスをいつどこで身につけたのか思い出せませんが、意味的には「起こりうる」というような感じだと思います。

 

"wouldn't"も、よく目にする単語です。これはかなり機械的に記憶しているのですが、「~しようとしない」という意味です。たとえば、"The door wouldn't open!"といえば、「ドアが開かない!」となります。頑張って色々やってみても~できない、というようなニュアンスです(…とわたしは記憶しています)。「エイダはそんなことをしない」という意味でしょうね。

 

続いてアネット、"If you don’t want to believe me I don’t care, your about to die anyway." if節は you don't believe me までかかって、「もし信じたくなくても」です。I don't careは、日本語で感じるニュアンスよりもうちょっと投げ遣りで、「どうでもいい」「どっちだっていい」という感じなのだそうです。ですので、もし「晩御飯何が良い?」と聞かれて「何でもいいよ」という意味だと思って "I don't care" と答えると、関係がまずくなる、というような話を聞いたことがあります。あまり使わないほうがよい表現のようです*2。その次の your は、 you're のタイポではないかと思います。be about to~で、今まさに~するところだ、という意味ですね。「どっちにしても、お前は今からすぐに死ぬ運命なのだから」という感じでしょうか。

 

Computer Voice (V.O): The self destruct sequence has been activated! Repeat, the self destruct sequence has been activated! This sequence may not be aborted! All employees proceed to the emergency car at the bottom platform!

爆破装置が作動しました

繰り返します

爆破装置が作動しました

停止する事は出来ません

研究員は最下層のプラットフォームから非常車両で脱出して下さい

 

個人的には、バイオハザードシリーズで一番好きな台詞です(笑)。おそらく一生使うことのない表現だと思います。ここで使われる現在完了形、すなわち has been activated という響きが、ものすごく英語的な感じがして非常に魅力を感じるのです。"The self destruct sequence is activated" ではないのです。そして、"This sequence may not be aborted" なのです。このシークエンスは、アボートさせることはできないのです。

 

というわけで今日はこの辺で。

*1:これは日本語の問題ですが、通常、「ところで」という意味で使う場合、普通はひらくものだと思われますが…。

*2:ちなみにこの場合何と答えればよいのか、模範解答を探しましたがみつかりませんでした。要するに、意図としては I like whatever you choose というようなことを言っておけば良いのだと思うのですが、決まり文句としての良い表現が見つかりませんでした。

バイオハザードで英語の勉強

映画を観て英語の勉強をしよう、という試みは良く聞きますが、ゲームも同じくらい効果があるのではないか? というのがわたしの感想です。わたしは『バイオハザード』シリーズがものすごく好きで、シリーズは殆どプレイしているのですが、自分が好きなシーンというのは繰り返し繰り返し見ても全然飽きないので、これをディクテーションや暗誦に使えば、実益を兼ねることができるんでは? と思い、勢いあまってちょっと書いてみました。題材は、オリジナル版の『1』で、ウェスカー隊長が最後に色々とバラす名シーンです。

 

では見ていきたいと思います。まずは英文のスクリプトから。(引用元はこちら

 

Jill: Wesker?

Wesker: You did a fine job, Barry.

Jill: Just as I thought...

Wesker: I think you should stay away from Barry, Jill. I hear that his wife and two daughters will be in danger if he doesn't do everything I tell him to.

Jill: You are so cruel...

Wesker: Well, you don't have to worry about anything, because you'll be free from this world very soon, Jill.

Jill: Why do you have to destroy S.T.A.R.S?

Wesker: That's Umbrella's intention. This laboratory has been engaging in dangerous experiments, and recently an accident has occurred. Anyway, this disaster cannot be made public.

Jill: That's why having S.T.A.R.S. nosing about is so inconvenient. So you're a slave of Umbrella now, along with these virus monsters.

Wesker: I think you misunderstand me, Jill. To me, the monsters you mention mean nothing. I'm going to burn all of them together, with this entire laboratory. I must complete my mission, as ordered by Umbrella. Barry, go up on the ground and wait there.

Jill: Barry!

Wesker: Barry's such a fool. He'll be under the control of Umbrella forever.

Jill: How come both Umbrella and you can intimidate him, by taking his family as hostages?

Wesker: Umbrella? Well, I intimidated him, but it had nothing to do with Umbrella. I just used him for my personal purposes, though both you and Barry seemed to think I was following orders from Umbrella.

Jill: So you're planning something else?

Wesker: If you succeeded in developing the world's most powerful biological weapon, what would you do? What if you were in charge?

Jill: You must stop this now.

Wesker: You're a brave girl. But if I were you, I wouldn't give up such a big discovery. You guys are idiots. No one understands its real value. 

Jill: So, you're going to steal all the research?

Wesker: Better yet. I'm going to show you the Tyrant.

 

 続いて日本語の字幕を確認します。

 

Jill: Wesker?

ウェスカー

Wesker: You did a fine job, Barry.

よくやった バリー

Jill: Just as I thought...

やはりね

Wesker: I think you should stay away from Barry, Jill. I hear that his wife and two daughters will be in danger if he doesn't do everything I tell him to.

まあ バリーを責めるな

私の命令を実行しないと家族の命が危うくなるそうだ

Jill: You are so cruel...

汚いわね

Wesker: Well, you don't have to worry about anything, because you'll be free from this world very soon, Jill.

気にすることはない じきにこの世ともおさらばさ

Jill: Why do you have to destroy S.T.A.R.S?

何故S.T.A.R.S.壊滅を?

Wesker: That's Umbrella's intention. This laboratory has been engaging in dangerous experiments, and recently an accident has occurred. Anyway, this disaster cannot be made public.

アンブレラの意向だ

この研究所は少々危険な実験をしていてね―

実際に事故を起こしてしまった

もちろん公になど出来ない

Jill: That's why having S.T.A.R.S. nosing about is so inconvenient. So you're a slave of Umbrella now, along with these virus monsters.

何かとかぎ回る

S.T.A.R.S.は都合が悪かった…

まるでアンブレラの奴隷ね

…ここのバケモノと同じ!

Wesker: I think you misunderstand me, Jill. To me, the monsters you mention mean nothing. I'm going to burn all of them together, with this entire laboratory. I must complete my mission, as ordered by Umbrella. Barry, go up on the ground and wait there.

思い違いもはなはだしいね

君の言うバケモノなどクズだ

研究所ごと焼きはらってくれる

だがそこまでだよ

私がアンブレラと関わるのは

バリー 地上で待機していろ

Jill: Barry!

バリー

Wesker: Barry's such a fool. He'll be under the control of Umbrella forever.

どこまでもアンブレラにおびえる愚かな男だ

Jill: How come both Umbrella and you can intimidate him, by taking his family as hostages?

家族を盾に取っておきながら!

Wesker: Umbrella? Well, I intimidated him, but it had nothing to do with Umbrella. I just used him for my personal purposes, though both you and Barry seemed to think I was following orders from Umbrella.

おどしはしたがね

アンブレラとは無関係さ

君たちはアンブレラが裏にいると

思いこんでいるようだが―

あくまで私自身のためだ

Jill: So you're planning something else?

この上まだ何か!?

Wesker: If you succeeded in developing the world's most powerful biological weapon, what would you do? What if you were in charge?

たとえば究極の生物兵器を開発したとしよう

さてどうする?

運命は君に委ねられるんだ

Jill: You must stop this now.

踏みにじってやるわ!

Wesker: You're a brave girl. But if I were you, I wouldn't give up such a big discovery. You guys are idiots. No one understands its real value. 

実に勇ましいね

だが無意味な勇ましさだよ

どうかしている

誰も分かっていないんだ

Jill: So, you're going to steal all the research?

横取りする気ね その大発見を

Wesker: Better yet. I'm going to show you the Tyrant.

見せてやろう タイラントだ…

  

ということで結構意訳が入っていることが分かると思います。

 

*********************

 

それでは一文ずつ見ていきましょう。

 

Jill: Wesker?

ウェスカー

Wesker: You did a fine job, Barry.

よくやった バリー

Jill: Just as I thought...

やはりね

 

この辺までは意訳もクソもないですね。殆ど読んだままです。訳にも違和感ありません。

 

Wesker: I think you should stay away from Barry, Jill. I hear that his wife and two daughters will be in danger if he doesn't do everything I tell him to.

まあ バリーを責めるな

私の命令を実行しないと家族の命が危うくなるそうだ

 

このあたりからやや意訳が目立ちます。

"I think you should stay away from Barry, Jill."

直訳すると、「君はバリーから距離をとっておくべきだったね、ジル」となるでしょうか。つまり、バリーに気をつけるべきだったが、君はそうしなかった、という意味になります。ここでのshouldは、~すべきだった(が、しなかった)という意味でよいと思います。

次の"I hear that his wife and two daughters will be in danger if he doesn't do everything I tell him to."は比較的素直な文章ですね。

 

Jill: You are so cruel...

汚いわね

Wesker: Well, you don't have to worry about anything, because you'll be free from this world very soon, Jill.

気にすることはない じきにこの世ともおさらばさ

 

これはなかなか興味深い文です。"because you'll be free from this world very soon, Jill." be free from ~ で、「~から自由になる」ですので、すぐにこの世界から自由になれる、というのが直訳でしょうか。他でも使えそうな表現です。 

 

Jill: Why do you have to destroy S.T.A.R.S?

何故S.T.A.R.S.壊滅を?

Wesker: That's Umbrella's intention. This laboratory has been engaging in dangerous experiments, and recently an accident has occurred. Anyway, this disaster cannot be made public.

アンブレラの意向だ

この研究所は少々危険な実験をしていてね―

実際に事故を起こしてしまった

もちろん公になど出来ない

 

engageは他動詞と自動詞の二つの使い方があるようです。engage~でも、engage in~ でも殆ど同じ意味でしょう。「~に従事する、~にかかわる」という意味になります。現在完了進行形ですので、今の今までずっと危険な実験をしていた、というニュアンスが伝わります。"recently an accident has occurred."これも直訳すると「つい最近、事故も起こしてしまった」となります。"be made public"は熟語で「公にする」ですので暗記しましょう。

直訳すれば「これはアンブレラの意向だ。この研究所はこれまでずっと危険な実験をしてきており、つい最近、事故を起こしてしまった。いずれにしても、この災害は公には出来ない」となると思います。

 

Jill: That's why having S.T.A.R.S. nosing about is so inconvenient. So you're a slave of Umbrella now, along with these virus monsters.

何かとかぎ回る

S.T.A.R.S.は都合が悪かった…

まるでアンブレラの奴隷ね

…ここのバケモノと同じ!

 

ここはわたしも難しくて、文法的には理解できませんでした。"That's why"は決まり文句で「~というわけで」となり、わかりやすいですが、その次にくる"having"の品詞がわかりません。おそらくこれは使役動詞の"have"の進行形で、have + 目的語 + ~させる、つまり、ここではスターズにnosing aboutさせる、という意味なのではないかと思いました。直訳するならば「だから、スターズに周囲を嗅ぎ回らせることが、非常に都合が悪いというわけだった」となるでしょうか。"along with"は「~と一緒に」という意味なので、字幕のとおりです。

 

Wesker: I think you misunderstand me, Jill. To me, the monsters you mention mean nothing. I'm going to burn all of them together, with this entire laboratory. I must complete my mission, as ordered by Umbrella. Barry, go up on the ground and wait there.

思い違いもはなはだしいね

君の言うバケモノなどクズだ

研究所ごと焼きはらってくれる

だがそこまでだよ

私がアンブレラと関わるのは

バリー 地上で待機していろ

 

"To me, the monsters you mention mean nothing" 最初の"the monsters you mention"が主語ですね。関係代名詞が省略されて、"the monsters (which) you mention"「君が言及したこれらのモンスターたち」となります。"mean"は「意味する」ですから、直訳すると「私にとって、君が言及したこれらのモンスターたちは意味がない」となると思います。

 

問題は次です。"I must complete my mission, as ordered by Umbrella"「私は自分のミッションを完遂しなければならないのだ、アンブレラの指示通りに」という意味だと思うのですが、なぜか字幕では「だがそこまでだよ、私がアンブレラと関わるのは」と表現されています。

 

as というのは非常に多くの意味があり、英語を日本語にする場合に非常に困難な単語のひとつだと思います。正直言って、今でもこの単語は意味が分からないので、こういう表現に出会うと、ニュアンスがわからないのが正直なところです。日本語字幕と英文本文では多少ニュアンスが違うような気もします。

 

Jill: Barry!

バリー

Wesker: Barry's such a fool. He'll be under the control of Umbrella forever.

どこまでもアンブレラにおびえる愚かな男だ

 

ここは特に問題ないですね。 

 

Jill: How come both Umbrella and you can intimidate him, by taking his family as hostages?

家族を盾に取っておきながら!

 

"How come"というのは、Eigo with Lukeによると、"How did it come about that" の略で使われ、意味は「どうして?」ということだそうです。非常に口語的な感じのする、難しい表現ですね。文法的には、How comeの後には肯定文の語順で続くのが正しいとのことです。"intimidate"は「~を(脅して)言うとおりにさせる」という意味なので、直訳すると「どうしてアンブレラとあなた(ウェスカー)は、家族を人質にして彼を脅すことができたんですか」となりますので、一種の反語表現になっているということでしょう。つまり「どうしてそんな酷いことができるんだ?」というようなニュアンスだということでしょう。こういう反語表現を使いこなせるようになったら、英語力は相当であるといえるでしょう。

 

Wesker: Umbrella? Well, I intimidated him, but it had nothing to do with Umbrella. I just used him for my personal purposes, though both you and Barry seemed to think I was following orders from Umbrella.

おどしはしたがね

アンブレラとは無関係さ

君たちはアンブレラが裏にいると

思いこんでいるようだが―

あくまで私自身のためだ

Jill: So you're planning something else?

この上まだ何か!?

 

"have nothing to do with"はよく使われるフレーズです。「~には関係ない」ですね。

 

Wesker: If you succeeded in developing the world's most powerful biological weapon, what would you do? What if you were in charge?

たとえば究極の生物兵器を開発したとしよう

さてどうする?

運命は君に委ねられるんだ

 

やってまいりました仮定法。"If you succeeded in~"で、時制が過去になっていますので、ここは現実と異なる仮定をおいている文、すなわちわたしも大の苦手である仮定法そのものです。「もし君が最強の生物兵器の開発に成功したとしたら」ですね。その後に続く文は"what would you do?" ですので、こちらも時制がひとつ過去にさかのぼって、君ならどうする?という意味なります。

 

次の文は少し省略が入っているように見受けました。おそらく、省略せずに書くと"What (would you do) if you were in charge?" となるのではないでしょうか? つまり、「君が責任者なら、どうする?」ということです。これも仮定法ですね。

 

Jill: You must stop this now.

踏みにじってやるわ!

 

このあたりはかなり意訳が入っているようです。直訳すると「あなたは今すぐやめるべきだわ」となるでしょうが、 字幕では意訳されているように、日本語のニュアンスだと随分違和感があります。うまくいえませんが、こうした表現は英語特有だなという気がします。

 

Wesker: You're a brave girl. But if I were you, I wouldn't give up such a big discovery. You guys are idiots. No one understands its real value. 

実に勇ましいね

だが無意味な勇ましさだよ

どうかしている

誰も分かっていないんだ

 

また出てきました仮定法。"If I were you, I wouldn't give up such a big discovery." 「私がもし君の立場なら、こんな大発見は諦められないだろう」というのが直訳ですが、かなり意訳されていることが伺えます。仮定法周りのニュアンスは英語学習者にとっては永遠の課題といえそうです。

 

Jill: So, you're going to steal all the research?

横取りする気ね その大発見を

Wesker: Better yet. I'm going to show you the Tyrant.

見せてやろう タイラントだ…

 

"better yet"が難しいですね。わたしもわかりませんでしたのでググってみたところ、どうも「今の状況よりも(はからずも)もっと良い状況になった」という意味ではないかと思われます。とはいえ文脈に左右される感じもするので、なかなか初学者にはハードルが高そうな表現です。

 

さて、こんな感じで一つ一つ暗誦していけば、たのしく英語が学習できます。ということで、本稿はこのへんで終わりにしたいと思います。次回また元気があれば、他のバージョンも書いてみたいと思います。

マルチリンガルの外国語学習法

 

「英語学習法」ではない、「外国語学習法」である。著者はなんと専門の言語学者ではなく、ふつうの(!)勤め人らしいが、その傍らで複数の言語に親しみ、イランやトルコ文学を翻訳する、翻訳家兼研究者のような活動をされているという。しかし、そのマスターした語学の数が凄い。「はじめに」に、著者がこれまで「かかわってきた」言語が羅列されているので、ざっと紹介してみよう。次のとおりである:

 

・スペイン(カスティーリャ)語

ポルトガル語

カタルーニャ語

・フランス語

・イタリア語

ラテン語

ルーマニア語

・ペルシア語

トルコ語

・正則アラビア語

・聖書ヘブライ語

・ドイツ語

アゼルバイジャン

・パシュトー語

ウルドゥー語

ヒンディー語

ウイグル

ウズベク

・ロシア語

・英語

 

このうち太字にしたものは、「読む」「書く」「話す」の三要素を「一応バランスのとれた状態でこなせる」というらしいから、これは本物のPolyglotである*1。もちろん母語(著者の場合、日本語)が加わるために、操れる言語は10になるという計算である。どういう脳みそをしているのであろうか。

 

さて本書はいわゆるPolyglotものの勉強法であるが、わたしが読んだ限り、あまり一般の役に立つような、いわゆるハウツーの勉強法は殆どかかれていなかった。*2。Polyglot系の本に多いが、むしろこれは、多言語話者(というより、翻訳家か?)がどのように言語というのを捉えているのか? について文字通り興味本位で読む、ある種の「物語」と割り切ったほうがいいだろう。というのも、おそらくこのレベルで語学を志す人というのは、もはや存在自体が珍しいため、そもそも万人に向けた勉強法などが存在するはずもないからだ。言い方は悪いが、こんな新書一冊読んだ程度でPolyglotになれるなどと考えるほうがどうかしている。

 

著者はもともと帰国子女だそうだが、幼少期に明確な母語がなかったために、感情をうまく表現することができず、不安定な時期を過ごしたという。これはバイリンガル系の本を読んでいるとよく読む話で、たしかに自分の考えていることを言語化できないというのは、自己を確立する上でも大きな障害であるようにも思う。少し趣旨が異なるかもしれないが、同じPolyglot系の本で『語学で身を立てる』という良書があるが、こちらにも次のような記述があった: 

 

外国語がどのくらい習得できるかは、日本語がどれだけできるかにかかっている、といっても過言ではありません。アメリカからの帰国子女の母親で「うちの子は英語には困らないのですが、漢字が書けなくて……、英語で話したほうが楽だなんていうんです」と嬉しそうにこぼす人がいましたが、このような子どもは日本で語学を仕事にすることはできません。実際、その高校生は、発音は素晴らしくよいのですが、その話しぶりはアメリカ人の小学生が話す英語そのまま、文章を書かせると子どもの日記みたいな調子で、綴りも間違いだらけというありさまでした。(後略)

 

 

この高校生のような状態であれば、おそらく自分の考えていることを正確に伝えるということは母語でも難しいだろう。というより、日本語が不自由なだけでなく、英語ですら満足に運用できないわけだから、自分の母語がどちらなのかもわからない状態なのかもしれない。わたしはこういう状態に置かれたことがないので想像でしかないが、恐らく感情的に非常に不安定な状態になるのではないだろうか。

 

本書の著者である石井氏も、「小学校高学年になっても、全然年齢相応の言語による自己表現力がなく、まわりとの協調ができない。今風に言えば、わけもなくすぐキレるというやつである。まともな言葉が通じない、粗暴で極度に情緒不安定、最低の問題児であった」と述懐している。現在、海外一世として活躍されている方のブログなどを拝見しても、子女の母語選択にはかなり気を遣っていることが伺える。バイリンガルというのは放っておけばできるものでもないらしい。

 

話がまた逸れたような気がするが、本書の妙味は、ふつうの語学屋ならとても到達できなさそうな領域から語学について語っているところにあるだろう。とくに面白いのは英語に対する概観である。Polyglot的な観点からみた英語という言語はどうやら特殊な言語であるらしく、先に紹介した『語学で身を立てる』の猪浦氏も、他の主たる西洋言語に比べて著しく語形変化が少ない言語だと書かれている。日本人にしてみれば英語の語形変化は十分多いような気がするわけだが、仏語や独語などから見れば圧倒的に少ないのは事実である。そのため、文法上、非常に多彩な解釈が可能になってしまうという言語上の問題が発生してしまうらしい*3。また、やや複雑な文法上の概念として「接続法」、英文法でいうところの「仮定法」に関する例が紹介されている。これは、英語がいかに他の印欧語に比べて接続法が退化しているか、という説明をされているわけだが、残念ながらわたしに語学的な素養がないのでそのエッセンスをうまく伝えることができない。本書をぜひ読まれたい箇所である。(面白いよ)

 

以上どこまで本書の魅力をお伝えできたのか甚だ疑問であるが、いい年こいて「外国語がペラペラになりたい」などという、言わば中二病がなかなか治らないオッサンが読んだら、「やっぱり英語くらいは何とかできるようになりたい…」という気持ちにはなったので、そういう効用は間違いなくあるだろう。

*1:本文中にもあるが、ラテン語は現在では死語であり、日常的に使用する人は殆どいないであろう

*2:「はじめに」にちゃんと断りがある

*3:そのため、英語は慣用句的な用法のバリエーションが多くなり、システマティックに理解することが難しく、要するに理屈じゃない場合が多い…というようなことを何かで読んだが、出典を忘れてしまった

だまされたと言う人には要注意

目も耳も口も節穴だらけの烏合の衆 - いすみ鉄道 社長ブログ

 

新聞はおろか、テレビニュースすら見ないのでまったく時期を逸してしまった感がありますが、それでもわたしの主たるニュースソースであるTwitterやにちゃんまとめサイトなどでも話題になっていることから、遅ればせながら、大きな注目を集めていることがわかりました。何とか河内氏のゴースト問題というやつです。

 

わたしは作曲に明るくないのですが、まあ著名な人の名前を貸したり、元請けのようなかたちで、クレジットに名前が出る人と実際に製作する人が違うということは別に作曲の業界でもあるんだろうな、と思いましたので、最初何が問題なのかよくわかりませんでした。が、その後、後追いで少し記事をいくつか追っかけてみたところ、聾? の方が作曲していたという物語にケチがついたということと、そもそも聾自体が嘘だったのではないか、という二点で批判が殺到しているとのことで、なるほどと腑に落ちました。要するに、消費者(というより、マスコミでしょうか?)の逆鱗に触れているのは

 

・聾者が作曲していたという感動の物語が嘘だったということ

・そもそも聾であるということ自体が嘘である可能性が高いこと

 

この二点が大きな理由になっているわけです。ははあ、なるほど、という気がします。ここから、端的に言うと「だまされていた、感動を返せ!」というような論調につながっていくわけでしょう。よくできたシナリオといえます。

 

第二次世界大戦中、イケイケと戦争を煽っていた新聞社がありましたが、敗戦と同時に、「戦時中は大本営にだまされていた(だからわれわれは悪くない、悪いのはわれわれをだましていた軍部だ)」というようなことを自信満々に書いていた新聞社があったと聞きます。実際、戦争が終わると、「俺は初めから反対だった」という手のひらを返す人間は非常にたくさんいたそうです。それもそのはずで、誰だって戦争の片棒を担いでいたと思われたくありませんから、後出しでポジションを取り直せるものなら誰だってそうしたいはずです。こういう動機があるときに、「だまされていた」というのは非常に便利で巧妙なギミックといえます。なぜなら、実際に戦争を煽っていたことは事実なのですが、その事実を否定せず、矛盾なく自分のポジションを加害側から被害側にスイッチすることができるからです。この場合、悪いのは軍部であり、大本営であり、新聞社はこれらの悪に「だまされた」善良なる社会の木鐸ということになるからです。平和を愛する実に立派な新聞社で、日本の良心です。すばらしい新聞社です。次に手のひらを返すのはいったいいつになるのか楽しみですが、わたしはその新聞をとっていません。

 

大好きな新聞社のことでつい興が乗ってしまい、話が逸れました。それはともかく、「偽作曲家」氏に「だまされた」人たちは、誰にだまされていたんでしょう? なぜ、「だまされていた」というスタンスを取らざるを得ないのか、どういうポジションを守ろうとしていたのか、容易に想像がつくような気が致します。「聾」者が作曲した「感動の」名曲…。こういう、敢えて言いますが「お手軽な」物語を消費したい、という心理こそ、われわれが「だまされてしまう」原因だとわたしは思います。

 

そうなると、あとで「あ、やっちまった」という感情から、「いや、わたしはだまされていただけなんだよ(=だから俺は悪くないよ、悪いのはだましていたTVなんだよ)」ということを言いたくなるのもよくわかります。ですが、それを言っちゃあオシマイというやつですな。どう考えても、だます側とだまされる側に共依存的な関係があるのですから、だまされた側だけが一方的に免責されて、正義面してだます側を断罪するというのは、無粋に過ぎるというものでしょう。

新年の抱負

あけましておめでとうございます。…といっても、大して更新していないブログで挨拶をするほどむなしいものはありません。

 

今年の目標は、ちゃんと勉強することですね。同世代のひとたちが色々なことにチャレンジしている中、何も変化のないわたしの人生に華を添えるのが今年の目指すところであります。

 

昨今、意識しているわけではないのですが、Twitterに費やす時間が減ってきて、多少、精神衛生が改善されたように感じております。その時間はパズドラに向けられているので、相変わらず勉強時間は少ないままなのですが、少なくともTwitterよりもパズドラは健全であり、時間の使い方として「まだマシ」のような気がしています。いやほんと、パズドラ、よくできたゲームですよ。課金し始めてしまうとやばそうなので何とか思いとどまっておりますが…。

 

今年も頑張ってまいりましょう。